親としてショックな気持ちとどう向き合う?
自分の既成概念に気づき、自分と相手をともに活かす交流をめざす
『セルフカウンセリング』を普及するNPO法人です。
セルフカウンセリングでは自他境界線を大切にしています。
自他境界線とは自分と相手を分ける線のことです。
自分と相手の間に区別する線があることを意識できると、どんなときにも、どんな相手にも落ち着いて対応できます。
自他境界線の大切さを、実感をもって理解したサユリさんの体験をご紹介しましょう。
【サユリさんの体験】
大学を卒業して就職した息子は、2年ほどで会社を辞めました。
夫と私は、次の就職先を決めてから、会社を辞めるように忠告しました。
けれど息子は、次の就職先も決まらないうちに、会社を辞めてしまいました。
その後は、なかなか次の就職が決まりませんでした。
私は親として、さりげなく息子に忠告したい。
息子にどのように接すれば、息子は積極的に就職活動をするようになるのか知りたいと思いセルフカウンセリングに取り組んでみました。
《場面の記述》
夜、私は居間にいた。
息子の部屋から息子の笑い声が聞こえて来た。
私は〈また、夜遅くまで、ゲームをやっている。
のん気に笑っているなあ。
本当に就職活動しているのかなあ。
このまま決まらなかったらどうするの。
でも、就職はどうなっているのとは聞けない。
そんな事を聞いたら、今までの息子との良い関係が崩れてしまうかもしれない。
息子との関係は大切にしたい。
息子の人生は息子のもので、私のものではないから。
でも、就職はどうなっているのか、知りたいし、聞きたい〉と思った。
《サユリさんの気づき》
私は、場面の記述を何度も読み返しました。
場面の記述全体から、このまま就職が決まらなかったら、息子は苦労するに違いない。
息子に苦労はさせたくない。
だからと言って、私が口出しして息子のプライドを傷つけてはいけない。
むやみに口出ししてはいけないという思いで、心が揺れていることに気づきました。
このように気づけても、私の気持ちは落ち着きませんでした。
私は自分と息子の間に線(自他境界線)があることを意識しながら場面の記述を読み返してみました。
すると、私は息子に苦労させたくないと思っていたのではなく、息子が苦労する姿を見たくないと思っていたことに気づきました。
しかし、息子はゲームを楽しんでいる様子です。
そこに気づくと、息子が苦労するかどうかも分からないのに、私が心配することは無用なことだと気づきました。
息子の人生は、息子のもの。
息子の人生は、私のものではないと心から納得できました。
息子の苦労も、息子の喜びも、私のものではなく、息子自身のものなのだと気づくことができました。
息子との間にある線を飛び越えて、息子に私の心配を押し付けていたこと気づき、私の気持ちは落ち着いてきました。
息子との場面を記述した経験を通して、自分と相手を書き分けること自体が、とても重要な意味を持っていると実感として理解できました。
一番親しい家族に対して、ちょっと立ち止まり、自分の気持ちを見つめるきっかけになりました。
(セルフカウンセリングは商標登録されています。)
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