相手とのくい違いから疎遠にならない方法
自分の既成概念に気づき、自分と相手をともに活かす交流をめざす
『セルフカウンセリング』を普及するNPO法人です。
コロナ禍の中で、SNSやリモートで友人とやりとりする
ことを1日の楽しみにしている方も多いことでしょう。
互いの都合に合わせて時間を気にせずに友人とSNSで会えることはとてもリラックスできることですが、ちょっとした言葉のニュアンスの違いで、気持ちがゆき違いになることもあるかもしれません。
今年、大学生になったアミさんはリモートで大学の授業を受けています。
大学に入ったにも関わらず、コロナの感染防止のためにキャンパスライフを味わうことも、
新しい友達も作ることもできず、物足りないと感じる日々を過ごしています。
そんな中で、高校時代から仲の良い友人3人とSNSでやりとりすることが唯一ホッとできる瞬間です。
ある時、テレビで見たアイドルグループについて「私、AグループのMが好きなんだ」とアミさんが言うと、「エッ!どうして?私、分からない」と友人のヒロミさんから言われました。
アミさんはヒロミさんから「分からない」と言われたことでショックを受けました。
自分が否定されたように感じられたのです。
それ以来、SNSで友人に自分の気持ちを話すことにちょっと戸惑いを感じるようになりました。
自分のことを話したいと思うと同時に〈また、ヒロミから分かんないって言われたらどうしよう〉という気持ちが湧いてきます。
次第に友人とSNSで話していても自分の思ったままを言うことができなくなりました。
友人と話すことが楽しくなくなりました。
〈このままじゃ、ヒロミのこと嫌いになっちゃう、そんなのイヤだ!〉
アミさんは、セルフカウンセリングの方法で専用のフォーマットにヒロミさんとのやりとりを書いてみることにしました。
【アミさんが書いたヒロミさんとのやりとり】
私は〈この前のテレビ、AグループのM、カッコよかった!
私がカッコいいと思っているんだから、みんなも同じように思っているはず!
Mの話ししたら盛り上がるだろうな。
よし、話してみよう〉と思いました。
私は「私、AグループのMが好きなんだ」と言いました。
ヒロミさんは「エッ!どうして?私、分からない」と言いました。
私は〈ヒロミ、Mの良さが分からないんだ!
他の人も何も言わない。
Mのこと好きなの、私だけなのかな。
みんなはMのこと好きじゃないのかな。
だったら悲しいな。
みんなも好きだと思っていたのに、私だけがMのこと好きだったんだ。
どうしよう、言わなきゃよかった。
盛り上がるどころか、盛り下がったわ。
この空気耐えられない!〉と思いました。
ヒロミさんとのやりとりを書いて見て、アミさんは自分が何にショックを受けたのかがわかりました。
自分が好きだから、みんなも好きなに違いないと思っていたのにヒロミさんから「分からない」と言われたことがショックだったのです。
さらに、自分がMの話をすることで、話が盛り上がると期待していたのに逆に盛り下がったことで、
ショックを受けたことにも気づきました。
話を盛り上げて楽しくやりとりしたいと思っていたのに逆に話が盛り下がったことで、自分の居場所がなくなったような気持ちになっていたことに気づきました。
アミさんはヒロミさんたちと楽しく会話をするために話題作りに必死になっていた自分にも気づきました。
自分の気持ちが理解できると、心がスーと落ち着きました。
一方、ヒロミさんの気持ちを推察してみると、ヒロミさんは「分からない」と言っていますが、
「Mが嫌い」とは言っていません。
ヒロミさんは自分の感じたことをそのまま伝えたのかもしれないと思えました。
アミさんがヒロミさんにMさんの良さを具体的に伝えたら、ひょっとしたら、ヒロミさんもアミさんに共感してくれたかもしれません。
時には、自分の想像と違う相手の反応に戸惑いを感じることもあるでしょう。
そんな時は相手と話している時の、自分の気持ちを具体的に捉えて、理解していけると、自分が何にこだわっていたのかが見えてきます。
自分のこだわりをそのまま受けとめられると、自分が何を大事にしていたのかが理解できます。
自分の大事な気持ちが理解できると、スーと気持ちが落ち着きます。
すると、相手の立場に立って相手の気持ちを考えるゆとりが生まれます。
相手には相手の気持ちがあることが見えてきます。
そこから互いの気持ちを活かした新しい会話の糸口がつかめるのです。
(セルフカウンセリングは商標登録されています。)