「ココロとカラダをスッキリ!」(その4) 　牧野妙子

こんにちは。

セルフカウンセリング®という心理学（自己発見心理学）に基づいて、企業研修としてコミュニケーショントレーニングを行ったり、コミュニケーショントレーナーの資格取得のためのセミナーを企画運営しているＮＰＯです。

セルフ・カウンセリングに関わって感じた各人の感想、思いつき等 あくまでも個人としての自由な意見・考え方をブログでお伝えしています。セルフ・カウンセリングを学ぶ上で、皆様の参考になれば幸いです。

前回に引き続き、専任講師の牧野妙子さんです。

 

「ココロとカラダをスッキリ!」(その4) 牧野妙子

 

◇前回のあらすじ

 

本を“貸した”つもりが、“あげた”と勘違いされてしまった雪子さん。

雪子さんにとって、その本は大切な本で手元に置いておきたい物でした。

それなのに相手から送られて来たお礼のメールに対して、「喜んでいただけて良かったわ」と返信してしまいました。

心とは裏腹な返信をしてしまったのです。

 

◇何か言う前には“気持ち”がある

 

なぜ、雪子さんは自分の本心とは違う対応をしてしまったのでしょうか。

セルフ・カウンセリングでは、私たちが何かを言う時には、その前に、“その言葉を言おう”とする気持ちがある、と考えています。

本心と違う言葉を言ってしまったときは、そのように言わざるを得ない気持ちがあったはずです。

その時の自分の気持ちを具体的に言葉にして書いてみると、その気持ちを、理解することができます。

 

◇　気持ちが葛藤していた

 

心の中で思ったことを、心の中でつぶやいた言葉のままに書き表したものを心のセリフと言います。

雪子さんは、この時の気持ちを心のセリフにしてみました。

 

私は〈どうしよう。茜さんは、本をもらったって思っているのね。

『その本は、貸したつもりだったの。読み終わったら返してね』って伝えようかしら。

でも、『返して』なんて言いにくいわ。

茜さんは、私のことをセコい人だと思って軽蔑するんじゃないかしら。

せっかく仲良くしているのに、関係を悪くしたくない。

だったら、誤解は誤解のままにして、丸く納めた方が良いわ〉と思った。

 

心のセリフを書いてみて、雪子さんは、この時自分の心の中で、葛藤する気持ちが生まれていたことに気づきました。

 

雪子さんの中では、

・「返して」と言いたい

という気持ちと、

・関係を悪くしたくない

という気持ちが葛藤していたのです。

 

◇　葛藤を自覚することで納得する選択ができる

 

本心とは裏腹な言葉を言った時には、本心とは別に、本心と対立する気持ちが生じています。

本心と対立する気持ちも、自分の気持ちであることには違いはありません。

そんな時は、自分の本心と、その気持ちと対立する気持ちの両方を自分で分かってあげる事が大切です。

「こんな気持ちとこんな気持ちが対立している(葛藤している)」というように。

葛藤を自覚するということがとても大切です。

たとえ、どちらかの気持ちを選択するにしても、自覚した上で選択するのであれば、自分で納得することができるからです。

 

雪子さんは、自分の中の葛藤に気づき、自分が“茜さんとの関係を悪くしたくない”という気持ち優先させたことが理解できた時、雪子さんの中のモヤモヤ感はなくなっていました。

そして、この時の自分の返信に対して、「ああ、こういう気持ちで、本心とは違うメールを出してしまったんだな」と納得する思いが生まれてきました。